2005年11月28日

北方領土は遠きにありて思ふもの?

最近のマンション騒動で取り上げられませんでしたが、
特別国会が終わったこの11月こそが、政治にとってはとても大事な時期だったわけです。
10月の特別国会は、杉村タイゾー議員や小泉シスターズ一色でしたが、
医療制度改革などの社会保障増税や三位一体改革などの財政再建の議論
そして数々の首脳会談外交と、日本にとって重要な問題が目白押しだったのです。

日米首脳会談、靖国問題を抱えるアジア諸国との会談となるAPEC、
ここまではまだテレビでも取り上げられていました。
でも、あのマンションの一件でプーチン大統領の訪日は完全に吹き飛びましたよね。

どうやら良好らしいですけど、日米関係が大事なのはよくわかります。
政治的には全然うまくいっていないけど、日中関係と日韓関係が大事なのもわかりますよ。
それぞれ大事な貿易相手国であり、近隣諸国であり、軍事的考えても重要な国々です。
そんななかで、いつもロシアが忘れられていませんか?
ムネオ騒動でも注目されたのはムネオ氏本人のことばかり。
ロシアとは一体どんな国なんでしょう?
日本はロシアとどんな関係を築こうとしているのでしょう?
東アジアのなかで、日本とロシアの関係をどう位置づけるのでしょう?
何のイメージもなく「北方領土、北方領土」と言ってみても、いまひとつピンときませんよね。

けだし国家独立自衛の道に二途あり
第一に主権線を守禦すること
第二には利益線を保護することである…


第1回帝国議会(1890年)における山県有朋首相の演説です。
利益線とは主権線を守る上で重要な場所であり、当時は朝鮮半島が想定されていました。
この利益線の確保を目指して、後に日清戦争、日露戦争を戦うことになります。
いまの日本の利益線を考えて、政府は外交をしているのでしょうか?

経済のグローバル化は、おそらく「利益線」の存在を曖昧にしているでしょう。
昔のように、どこからどこと明確な線を引くことは困難でしょう。
渡り鳥が運ぶ鳥インフルエンザや地球温暖化などを考えれば、
もう地球全体が利益線のようなものです。
まあ、こういうのを「コモンズ」というわけですが、
少なくとも、外交関係が正常に機能しているとは言いがたい東アジア諸国との関係や
石油をはじめとする天然資源の問題は、日本にとって守るべき利益線の問題ではないのでしょうか?

「経済協力⇒北方領土返還」という比較的単純な図式が崩れたいまだからこそ、
しっかりと外交というものを総合的に長期的な視野から組み立ててもらいたいものです。

およそ国として主権線および利益線を保たぬ国はござりませぬ
方現列国の間に介立して一国の独立を維持するには
ひとり主権線を守禦するのみにては決して十分とは申されませぬ


山県有朋演説の続きの部分です。
主権線をいたずらに主張するだけでなく、複雑に絡み合った「利益線」を解きほぐしながら外交を組み立てていく戦略を練ってもらいたいものです。
北方領土はしばらく「遠きにありて思ふもの」なのかもしれません。
posted by SNR at 21:00| Comment(1) | TrackBack(2) | 外交・国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
究極の愉しみ方を伝授♪
Posted by セックス at 2009年09月24日 20:10
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●「近くて遠い島、北方領土」 返さないが協力はしろというご都合主義
Excerpt: プーチン大統領は、経済界の要人というお供を引き連れて徒党を組んで乗り込んできましたが、私からすれば、 「何しに来たの?」 と言いたいところです。 「北方領土については話し合いはしない..
Weblog: 摩訶不思議なるマツリゴト
Tracked: 2005-11-29 21:34

最近の気になるニュースから(11/24)
Excerpt: ◆北方領土で展開無くプーチン大統領帰国  プーチン大統領の久しぶりの来日にもかかわらず、領土問題で何の進展も無いまま日露首脳会談が終わったようだ。 一部のマスコミは、領??
Weblog: 外交と安全保障をクロフネが考えてみた。
Tracked: 2005-11-29 23:45
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