2006年04月18日

日経新聞の壁

朝の地下鉄に乗り込むと、僕の周りには次々と壁が立ち並んでいきます。
毎朝の通勤電車で見られる光景、名付けて「日経新聞の壁」です。

通勤車内で圧倒的に読まれているのは、やはり日経新聞ですよね。
みんなそれぞれ器用に折りたたみ、僕をぐるりと完全包囲してしまうわけですが、当の僕が一生懸命読んでいるのは、『司馬遼太郎が考えたこと』。
この前まで読んでいたのは、谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』でした。
ちなみに、新聞は仕事に出かける前に、朝食を食べながら読むというのが、昔から染みついてしまった僕の癖なので、電車の中ではお気に入りの本を手にすることに決めているのです。

目の前に立っている、どこからどう見てもピカピカの新入社員すら、一心不乱に日経新聞を読んでいるのに・・・。
ちょっと不安になりかけた僕の目に、ドアの傍で文庫本を読みふけっているキャリア・ウーマンらしき女性の姿が留まります。
一生懸命、目を凝らして見ると、なんと読んでいるのはアレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯』!

いわずと知れた、主人公のエドモン・ダンテスが無実の罪で投獄され、そこから脱獄して巨万の富を得て、自分を陥れた人々に復讐をしていくというお話です。
こんなふうに概要を書いてしまうと陳腐なストーリーのようですが、実際には岩波文庫版で全7巻に及ぶ大作であり、人生の悲哀や登場人物の苦しみなど、胸をえぐるような濃密な描写が詰め込まれたものなのです。
もちろん、僕が『モンテ・クリスト伯』を読んでいる女性に共感を覚えたというのが、今回の主題ではありません。
あくまでも「日経新聞の壁」が今回のテーマです。

なるほど、日経新聞にはビジネスの世界で働く人々にとって、貴重なデータがたくさん載っています。
しかし、明日になればすぐにとまでは言いませんが、しばらく時間が経てばゴミ同然となってしまう情報がたくさん掲載されているのも事実です。
もし、朝の通勤電車で「日経新聞」さえ読んでいれば足りると考えている人がいるとしたら、それこそ「日経新聞の壁」なのではないでしょうか?
司馬遼太郎にしても、谷崎潤一郎にしても、デュマにしても、人生や社会のいろいろな局面で参考になる、さまざまな教訓に満ち溢れています。
そうした教訓から得た力を実際に生かすことこそ実は重要なのではないでしょうか?

「日経新聞」についても、折角の貴重な情報を読み解いて、それを実戦で活用する力こそが大切となるわけです。
もちろん、電車の中で何を読むかは各自の自由で、余計なお世話なんですけどね。
「日経新聞の壁」に取り囲まれながら、ついついそんなことを考えてしまうこの頃です。
ちなみに、今日の一面トップに掲載された「病院・介護施設専門ファンド」の話は、なかなか面白かったですけどね。
posted by SNR at 20:10| Comment(0) | TrackBack(1) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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