2006年03月13日

試される日銀のコミュニケーション能力?

「異常事態から平時」へ、金融政策のターゲットが「量から金利へ」と移った。
日銀が量的緩和解除を行ったことが大きく取り上げられました。
5年ぶりの金融政策の変更ですから、これも当然なのかもしれません。
そこで語れられていたことといえば、

またもやデフレ・スパイラルに逆戻りするのではないかという懸念。
住宅ローンなどを通じて、家計にどのような影響を与えるのか。
銀行の預金金利は上がるのか?
将来のゼロ金利解除をにらんで、国債利払いにどのような影響を与えるのか。
市場が金利に対する感覚を忘れているのではないかという不安等々。


しかし、もっとも大切なことは、日銀の福井総裁の「今後はわかりやすい政策に戻る、これに尽きます」という発言に表れていたのではないでしょうか?
もちろん、福井総裁が述べたかったのは、量的緩和という説明しづらい政策に終止符を打ち、今後は一般的な政策手段である金利の調整に戻るということなのでしょう。
しかし、本当にそういう普通の読み方だけで良いのでしょうか?

そもそも日銀の金融政策がとるべき役割は、市場と景気動向を的確に読み、ときに強いメッセージを市場に発してコントロールを行うことでしょう。
そこで求められているのは、市場と対話するコミュニケーション能力ではないでしょうか?
このように考えると、これまでの日銀の政策は異常ではあるが、大変にわかりやすいものだったと言えるでしょう。
とにかく、景気回復を優先して市場にお金を回すこと。
これだけが日銀の発するメッセージであり、その最後の手段こそが量的緩和という政策だったわけです。

しかし、これからはどうなるのでしょう?
日銀は当面いまのゼロ金利政策を続けていくと言っていますが、いつかは金利を引き上げるときが来るわけです。
そうなると、日銀が発するメッセージの意味は複雑なものとなってきます。
日銀が政策決定を行う環境も、きわめて複雑なものとなってくるわけです。

バブル経済のときにブレーキを踏むのは難しいということは、すでに経験していることです。
また、バブル崩壊後しばらく地価の下落を支持する声がやまなかったように、さまざまな利害関係者の思惑が交錯するなかで、的確に状況を判断して強いメッセージを発することは難しいものです。
複雑で難しい政策判断を求められた際に、日銀がどのようなコミュニケーション能力を発揮するのか?
生活に直結する住宅ローンや預金金利だけでなく、我々も見守っていく必要があるのではないでしょうか?
日銀が対話すべき市場に、我々も住んでいるのですから…。
posted by SNR at 21:20| Comment(5) | TrackBack(2) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日銀の量的緩和規制撤廃の方向、私も疑問です。
ゼロ金利政策でも、お金は市場に回らなかった、そして量的緩和で、各銀行が持つ日銀の当座預金をゼロ金利で、融資に回すよう日銀と政府はもくろみましたが、結論から言えば、企業はリストラなどでやっと体力を回復したところ。借金して投資まで手が回らない。
一方、中小企業の死活問題となる融資には銀行はかなり貸し渋りした。
結局、庶民が預けた預金に利子はほとんどいらず、手数料を取れるだけとって、メガバンクの収益はトヨタを超える所さえ出てきた始末です。
その利益も、不良債権の公的資金投入の変換に回っただけでした。
今後、短期金利はゼロ金利が続くでしょう、ただし長期金利(住宅ローン)などは上がる気配です。
不良債権は銀行の責任の問題だったはずです。それを金融危機の名の下、莫大な公的資金を投入しました。今返せるようになったのは、結局高齢者など一般庶民の金利を抑えて得た利益であり、結局は庶民にツケが回ったということだと思います。
さらに今後、1年定期預金などはゼロ金利で、住宅ローンなど変動金利で借り入れている一般労働者は、この先重い金利を払う。
なんか、私は釈然としません。
Posted by エクサ at 2006年03月13日 23:18
先進国の中央銀行に『(生活者がいる市場との)コミュニケーション能力』は、それほど必要ではないと思っています。

公定歩合のアナウンスメント効果は先進国ではほとんど重視されていないし、インターバンク市場は、コミュニケーション云々でなく純粋に数字=レートこそ第一なのだし。。。

それよりも、市中銀行の『(生活者がいる市場との)コミュニケーション能力』を改善しなければ。。。

Posted by まなくん at 2006年03月14日 15:17
エクサさん、まなくん、いつもコメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、我々一般の生活者と日銀が直接コミュニケーションをするわけではないので、もちろん間に一段、銀行などの金融業界が入りますね。まあ、二段階ではありますが、金利という数字そのものも、受け手によってさまざまな意味を持ってくるものです。この意味で、これから市場を読み、そして自ら発信したメッセージがどのような効果があるのかを読む、そういう力が求められるのではないでしょうか?
Posted by SNR at 2006年03月15日 14:22
たしかに、中央銀行が自らの存在意義、金融政策を、国民によりわかりやすく示す努力は必要だと思います。

損害保険会社の“不払い”問題とかを見ていても、金融市場のプレイヤーたちには、もっと市民とのコミュニケーションの努力を払う必要があると思っています。
Posted by まなくん at 2006年03月15日 15:38
日銀が量的緩和政策を止めるほんとの理由は、このままでは、日銀が倒産してしまうためでは?しかし、公的借金1000兆円の金利が1%上昇すれば、財政赤字が10兆円増大します。もし、5%上昇すれば、50兆円となり、税収を超えてしまいます。一刻も早い財政再建と増税が必要かもしれません。なんとしても、国家破産は、避けなければなりません。
Posted by なっとく at 2006年05月24日 00:39
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