2006年02月09日

あらためてプロとは何かを問う

「作為的でないということだけ言っておきます。そのために戦いますよ。技術者として絶対に負けませんよ!」とは、サムシング元社長の仲盛昭二建築士の発言です。

サムシングは1997年から1999年にかけて、福岡市内の構造計損の6割を担った建築事務所で、新たに偽装の疑いがある木村建設施行の物件があることが判明しました。
つまり、以前から懸念されていた耐震設計基準を満たさない「非姉歯」物件の存在が判明してしまったのです。

僕がここで敢えて「物件の存在が判明してしまった」と書いたのには理由があります。
それは福岡だけでなく、熊本県でも新たに偽装の疑いがある物件が判明したからです。
国土交通省が構造計損書の点検の結果、偽装なしと判断したにもかかわらず、木村建設施行の「非姉歯物件」から6件も、耐震偽装が行われていた疑いがもたれています。
この事実を以前から把握していたにもかかわらず、熊本県が公表していなかったことが明らかになったのです。
「厄介な物件の存在が判明してしまった」という態度がありありではないですか?

以前、耐震偽装問題が発覚したばかりの頃、「プロフェッショナリズムはどこへ消えたのか?」にも書きましたが、今回の報道を見てあらためてプロフェッショナリズムとは何かを問いたいと思います。
偽装の意図があったのかどうかについては敢えて問いません。
それにしても、問題が発覚した後の対応が問題なのではないかと思います。
仲盛氏の「作為的に偽装はしていない」という主張にしても、熊本県の「情報を積極的に開示しなかったこと」にしても、プロフェッショナルとしての視点が大いに欠けているのではないでしょうか?

サムシングの仲盛建築士は、ただ自分が偽装をしていないという主張の一点張りでした。
プロフェッショナルな技術者としての戦いは、自分が作為的な偽装をしていないと主張をすることだそうです。
たとえ姉歯氏のような偽装を作為的に行っていないのであっても、自分が手がけた物件に瑕疵があるかもしれないのであれば、まずは住民に対して不安を与えたことについて謝罪の気持ちがあって然るべきなのではないでしょうか?
熊本県の偽装隠しも同様で、自己保身以外の何ものでもないでしょう。
自分たちが設計したり、あるいは管轄したりしている物件に対する責任感は、彼らの態度のどこにも見られません。

本来のプロフェッショナリズムとは、自分が扱ったものに対する愛着や誇りを持ち、最後まで責任を貫こうとする態度にのみ宿るのではないでしょうか?
そういう精神を持っているのであれば、何よりもまずそこに住んでいる住民のことを考えた発言をするのが当然ではないでしょうか?
確かにマスコミは安易に悪者探しに走る悪い傾向があります。
それでもプロであるならば、もっとも大事な点は「作為の有無」ではなく、「建物の安全性と住民の安心」であることくらい分からないのでしょうか?
嗚呼、日本のプロフェッショナリズムはどこへ行ってしまったのでしょう。
posted by SNR at 23:05| Comment(7) | TrackBack(7) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございます
こちらからも打たせていただきました

自分のブログにも書きましたが、最初から自分の正当性を主張するあたり小嶋社長にも通ずる物がありますね
もう昔の職人気質の様なプロ意識は取り戻せないのでしょうか...
Posted by がんも at 2006年02月10日 11:26
がんもさん、コメントおよびTBありがとうございます。
おっしゃるとおりで、ヒューザーなどのケースと同じように責任転嫁合戦になりそうな予感がしますね。「自分が誰のために仕事をしているのか」という簡単なことが見過ごされているような気がします。
Posted by SNR at 2006年02月10日 11:52
TBありがとうございました。こちらもTBさせていただきます。今回の事件・・・まったく同感ですね。責任のなすりあいとか、見苦しいです。こういった事件まだまだ発覚するのではないでしょうか?
Posted by 書士日記 at 2006年02月10日 14:42
初めまして、
TBありがとうございます◎

第二の姉歯、現われるべくして現われたといった感じでしょうか――;
はたきで叩いたら第三第四と出てきそうな気が…
Posted by KENICHI at 2006年02月10日 16:50
書士日記さん、KENICHIさん、コメントありがとうございます。
責任のなすり合いは、見ていられませんね。「企業の社会的責任」(CSR)などと言われるようになってから、特に責任転嫁が激しくなったように感じるのは気のせいでしょうか?ちょうど、個人情報保護法が施行されて、却って個人情報の市場価値が高まってしまったみたいな感じなのですが。
「はたきで叩いたら」という表現には、思わず笑ってしまいました。基準や計算法が曖昧で、安全性よりも経済性を重視する風潮が蔓延している以上、「第三・第四現る」の可能性は高そうですね。
Posted by SNR at 2006年02月10日 17:05
 TBありがとうございます。
 作為的な意図の有無に関わらず、まずは住民に謝罪をするというのは同意見ですね。
 建築士が偽装を行い、そのうえで現場レベルでも手抜き工事を行い、ではマンションには怖くて住めません。
 衣食住といいますが、食に関してはアメリカの輸入牛問題があるので、今のところ「衣」しか安心できるものがないというのは、世の中も堕ちたものです。
Posted by 蒼猫ぱぐ太 at 2006年02月10日 19:57
蒼猫ぱぐ太さん、コメントありがとうございます。
筑紫さんも先週そんなことを言ってましたよ。でも「衣」も本当に大丈夫なんですかね。不安になってきますね。
Posted by SNR at 2006年02月13日 11:54
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