2006年02月08日

軽い国家の重い病?

病の軽重は分かりやすいが、国家の軽重をどうやって判別するのか?
そう思われる方も多いかもしれませんね。
一口に「軽い国家」と言っても、十人十色でさまざまなイメージを持つのかもしれません。

日清戦争に新しい時代の息吹を感じて舞い上がった正岡子規を、「新品国家が最初の外戦をしたために肺病やみのこの文学者までが無邪気きわまりない昂揚を見せた」と評した司馬遼太郎は、「昭和に入って国家は重くなった」と述べました。
「明治のひとびとにとってときにロマンティシズムの源泉でありえたような存在ではなくなり、国家そのものが狂気の思想と道徳をもち、それを好まぬ国民には牢獄を用意した」というわけです。
軍国主義と対外拡張に走った国家権力のあり方そのものというよりは、人々の意識における国家の重みを論じているわけです。

国家の軽重について、司馬遼太郎はさらに続けます。
戦後、急に国家が軽くなった。…その(保守党政治の)政治意識といえば地方や職域の利害や遺族会や農業団体などのぶんどり意識だけであって、国家というこのきわめて形而上的な思考を要する概念はとらえがたいものになった」と。

司馬遼太郎がこのように述べたのは1969年のことです。
あれから37年もの歳月が経ちましたが、国家の軽重はどうなってしまったのでしょうか?
「偽りの議員年金廃止法」や「防衛施設庁による官製談合」と、あまりに国家をなめたような問題が次々と明るみになっています。
ちょっとでも隙があれば、国家の公金をだましとって私服を肥やそうという意識は議員や公務員ばかりにとどまりません。
東横インによる違法改築では、税制上の優遇措置を利用して税金をだまし取っていたことになります。

2月7日放送の「ワイド!スクランブル」をご覧になった方はご存知でしょうが、独立行政法人への海外天下り出向を通じて私服を肥やす官僚もいるのです。
海外に赴任すると、民間人は渡航先の現地政府に対する、公務員は日本政府に対する納税義務を負っています。
しかし、独立行政法人による海外赴任者の多くは現地政府に対する税金を法人が肩代わりしているため、本人は一銭も税金を納めないという特権が生まれているのです。
もちろん、法人が肩代わりしているお金は日本国民の税金から支払われているのです。

番組では2001年に日本労働研究機構パリ事務所に出向した、厚生労働省出身の官僚(40歳)のケースが紹介されていました。
本給672万円に倍以上も上乗せされた諸手当で年収が1800万円以上もある上に、パリ市に支払う住民税までもが税金から捻出されているのです。

ここまでくると、ほとんど病気ですね。
こういう人たちの意識のなかで、国家の重みはどう認識されているのでしょうか?
まさに「軽い国家の重い病」とは言えないでしょうか?

「われわれはいま、体制・反体制というようなあやしげな言葉の魔術にまどうことなく、もう一度国家というものを考えなおし、この文明の段階にもっとも適合した国家というものをわれわれの手ですこしずつ作りなおしにとりかかってみる必要があるのではないか。そういう覚悟をもたない政治家は容赦会釈なしにひきおろしてしまう必要があるのではないか」
この声は政治家の耳に届いているのでしょうか?
posted by SNR at 20:15| Comment(4) | TrackBack(5) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ、エクサです。
軽いか重いか、私には良くわかりませんが、言える事は、本当にこの国の公務員、
特に議員と呼ばれる選挙で選ばれた特別職の公務員、
そして公務員の中のエリートと呼ばれる「国T」採用のキャリア公務員。
もっと、本気でこの国の現在と未来を考えて欲しいですよね。目先の利益でなく。
議員やキャリア、特にキャリアは、よく勉強して名門大学を
優秀な成績をおさめた人でしょ。頭いいんだから。
まあ東京大学が良い大学かは別にして、少なくとも優秀な成績でなければ入れないし
卒業できない学校なんだから。

日本のアメリカ化、市場原理主義と拝金主義。
金が全ての世の中で、頭がいいんだから、稼げ稼げじゃ、情けない。

公務員は自分の仕事に誇りを持って欲しい。
ただ、誇りを持って公務員になった人も、公務員の世界に入ると、
その色に染まってしまうのかなあ。
構造的な問題もあると思いますが。

それにしても、小泉首相は構造改革するとか言ってますが、
結局、それほどの「構造改革」は出来なかったみたいですよね。
次期総理もあまり期待は出来ないのかな。悲しい。
Posted by エクサbyShin-Takahashi at 2006年02月09日 00:01
エクサさん、いつもコメントありがとうございます。
おっしゃるとおりですね。議員やキャリア官僚の人たちの国家に対する意識が、あまりにも軽いのではないかと思い、この記事を書いてみたわけです。公僕とは名ばかりで、砂糖に群がる蟻のように思えてなりません。困りましたね。
Posted by SNR at 2006年02月09日 10:46
TBありがとうございます。

病が重くなると、病気であるという認識すら難しくなってしまいます。まだその状況にはなってないことを願いますが…。
Posted by 青袍 at 2006年02月10日 15:13
青袍さん、コメントありがとうございます。
なるほど、おっしゃるとおりですね。長年ひとつの組織にいると、病気であるという認識すら薄れていくのでしょうね。どうやら重症のようです。
Posted by SNR at 2006年02月10日 17:31
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