2005年12月29日

SNRが斬る今年の重大ニュース! イラク問題など:問われているのは日本の民主主義なのではないか?

今年も悲惨なテロが繰り返された1年でした。
ロンドンでの地下鉄同時爆破テロ、バリ島での爆破テロ事件…。
その一方で、イラクの現状については誰も気にとめなくなってしまったようにすら思える日々が続いています。

こうしたなかで、ブッシュ大統領がイラク戦争開戦のときの情報が誤りであったことを認めました。
「今さら何を言っているのか」という意見は当然あるでしょう。
しかし未だに黙して何も語らず、自衛隊派遣の延長を閣議決定してしまった小泉総理と比較する視点を忘れてはいけないのではないでしょうか?

もちろん日本が直接イラク戦争を始めたわけではありません。
自衛隊を派遣したのはあくまでも人道復興支援のためだと政府は言うでしょう。
イラクの治安状況が一向に好転しないことは、日本の責任ではないのかもしれません。
それでもやっぱり、日本はイラクの問題から目をそむけてはいけないと思うのです。

イラクに自衛隊を派遣しているからというからというのは主な理由ではありません。
また、テロとの戦いが人類共通の課題だからというわけでもありません。
イラク問題の背後には日本自身の問題、特に日本の民主主義についての問題が横たわっていると考えるからなのです。

イラク戦争が始まる直前のことを思い出してみましょう。
当時のアメリカで「VJ Day」という言葉があちらこちらに踊っていたのを、みなさんは覚えているでしょうか?
「VJ Day」とは日本でいえば終戦記念日のことです。
乱暴に言ってしまえば「全体主義に勝利して、日本を民主化させることに成功した美しきアメリカの思い出」という意味になります。
この日本に対する成功体験が、「だから我々はフセイン独裁体制を倒して、民主主義の恩恵をイラクにも与えることができる」という議論を正当化する論拠として使われたわけです。

多くの日本人にとっては、戸惑いを覚える話ですね。
当時の日本とイラクを同じ土俵で論じられても困るというのが正直なところでしょう。
しかしだからと言って、日本とイラクは無縁の問題であると言えるのでしょうか?
仮にもかつての日本とイラクが比較の対象に挙がったわけです。
かつては民主化の対象とされた日本が、今度はイラクの民主化を支援するために自衛隊を派遣する立場になったのですから…。

日本の民主主義の成熟度は12歳の少年である!
連合国軍総司令官のマッカーサーは、戦後直後の日本をこう表現しました。
この言葉は「12歳」という部分があまりにも強調されてしまった感があり、この後に続く「日本人は新しいモデルや考え方を受け入れることができる」という部分について触れられることは滅多にありません。
しかしマッカーサー発言でもっとも大事なのは、後段にある日本の柔軟性について述べた部分ではないかと僕は考えます。

民主主義の議論ではよく「多数派の専制」という言葉が使われます。
これは多数派が少数派の意見を抹殺してしまうことを指すもので、民主主義が陥りやすいもっとも危険な罠のことを意味します。
つまり、多様な意見を受け入れることができる寛容さや柔軟性にこそ民主主義の本質があるという警句なわけです。
日本は占領下で制度としての民主主義を導入したことになっていますが、根本的な精神のレベルで言えば本当にそうなのでしょうか?
当然、浮かび上がってくる疑問ですが、話をイラク戦争のときに戻しましょう。

イラク戦争開戦時のアメリカはどうだったのでしょうか?
イラクに自衛隊を派遣したときの日本はどうだったのでしょうか?
イラク戦争開戦の過ちについて語り始めたアメリカはどうなのでしょうか?
イラク自衛隊の派遣延長を決めた日本はどうなのでしょうか?


そこには十分に寛容さや柔軟性があったのでしょうか?
それ以前に、民主主義の基礎である議論がきちんと行なわれたと言えるのでしょうか?
このように考えてみると、成熟した民主主義とは果たしてどういうものなのかということが疑問になってきますね。

テロリズムが暴力による異なる意見の否定であり、民主主義にとって最大の敵であることは間違いありません。
またテロと戦うためには、力に頼らざるを得ない面があるのも事実でしょう。
しかし、それでもやはり我々の社会が民主主義を掲げている以上は、議論をしっかりと行なうことが必要なのではないでしょうか?

我々自身の社会は本当に成熟しているのでしょうか?
ちょっと長くなってしまいましたが、みなさんはどのように考えますか?
posted by SNR at 13:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 外交・国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/11140696

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。