2005年12月23日

SNRが斬る今年の重大ニュース! ライブドア:ホリエモンは日本人なのか?

2005年ほど株に関心が集まった年はなかったように思います。
ライブドアに始まり、村上ファンド、楽天、ジェイコム株…。
M&Aに始まり、TOBやLBO、あるいはポイズンピルやホワイトナイトと、いろいろな言葉もすっかり有名になりました。
ペイオフ解禁や日経平均の上昇と、株への関心を後押しする条件も整っていましたしね。
「ミニバブル」なんていう言われ方をして眉をひそめる向きもあるようですが、みんなの関心が高まったことは良いことだと思いますよ。
株式は資本主義経済を動かす大事な血流なのですから。

さて、タイトルに「ホリエモンは日本人なのか?」と書いたからといって、別にホリエモンの日本国籍を疑っているわけではありませんよ。
ドラえもんみたいに、ネコ型ロボットだなんて言いたいわけでもありませんよ。
当たり前ですけど…。

ホリエモンはよく「日本型システムへの挑戦者(あるいは反逆児?)」みたいな言われ方をするけど、本当にそうなのだろうか?
というのが、今回のテーマなのです。

メインバンクを中心とした系列企業どうしが築いてきた長期的な資本関係。
終身雇用や年功序列などに支えられた長期的な雇用関係。
行政指導や護送船団方式によって特徴づけられる政府介入。

こういった戦後の高度経済成長を支えてきたシステムはもう古くて時代遅れだと言われるわけです。

いわゆる「日本型システム」というものは、確かに日本が太平洋戦争への道を歩むなかで徐々に形成されていったものです。
軍備増強をするためには重工業化が必要で、重工業を興すためには莫大な初期投資や政府の支援が欠かせなかったわけです。
やがて国家総動員体制が敷かれ、戦争に敗れた占領体制下でも何万人規模の餓死者が出るのではないかという経済状態のなかで、政府による積極的な経済介入が行なわれたわけです。

では、それ以前の日本経済、つまり明治時代の日本経済はどうだったのでしょうか?
当時の日本経済は自由参入、短期的な契約関係、自由な労働力移動を特徴とする、いわゆる「新古典派」に近い経済体制だったわけです。
こんなふうに考えてみると、ホリエモンは明治時代に生まれていれば典型的な日本の実業家であったということになるのですね。

もっと視野を広げて、江戸時代にまで遡ってみるとどうかと言いますと、
まあ、ここら辺はいろいろと意見が分かれるところでしょうけど、長期的な関係と政府介入が特徴であったという意見もあるのですね。

では、典型的な日本型システムとは何なのでしょうか?

一口に「これこそが日本型だ!」と断じることは、ちょっと難しいのではないかなと僕は考えるのですね。
つまり、ホリエモンが典型的な日本人かどうかというのは愚問に近いのではないかと。

「いよいよ日本が人口減少時代に入ったと」いうニュースが話題になっています。
明治時代以来、ずっと人口が増え続けてきた日本社会が初めて人口減少の時代を迎えるのだそうです。
こういう観点から眺めてみると、これからの時代に必要とされている日本のシステムは何なのだろうかと思います。
明治時代のやり方なのか、戦後日本のやり方なのか、それとも江戸時代のやり方なのだろうかと…。
余談ですが、少子化に貢献しているという点では、独身のホリエモンは典型的な現代の日本人ですよね(笑)。
少子化問題に限らず、別の問題から考えてみると、また違う形の日本型システムが姿を現してきそうですね。

僕自身は経済であれ何であれ、社会の仕組みというものは何層にも積みあがった地層のようなものだと考えています。
日本社会という大地の上に豊かな緑を生い茂らせるためには、たとえ古い地層であっても決して無駄にはなっていないと
だから、「これが典型的な日本人だ」とか、「これが典型的な日本システムだ」とか、
そういった表面的に見える形で判断するのではなく、
日本社会という大地全体をいかに活性化させるかという視点で見るべきではないかな。
こんなふうに考えるわけです。

最後にもう一度だけ繰り返しておきますけど、
僕は決してホリエモンの日本国籍を疑っているわけではありませんよ(笑)。
posted by SNR at 22:36| Comment(5) | TrackBack(3) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございました。
 あなたの記事を、読ませていただきました。私の理解力が足りないので、なんとも言いようがないのですが・・・。
 ただ少し気になった点を、「終身雇用」や「年功序列」は戦争のために始まったのではなくて、江戸時代の封建社会や儒教文化の影響が大きいのでは・・・。
 それと、明治以降の日本についても何でもかんでも太平洋戦争に結び付けて考えるのは、どうかと思いますよ。欧化政策で、欧米に追いつけ追い越せとなる場合、日本のような当時の弱小国は資本の集中をするより他無かったからのでは?
Posted by ハローお馬ちゃん at 2005年12月24日 00:15
早速のコメントありがとうございます。
文章力が拙く誤解を与えてしまった面も多いかとは思いますが、日本型システムの厳密な意味での起源を論じたり、良い悪いという価値判断をしたりする趣旨の文章ではないんですよ。あくまでも、「ホリエモン現象」を大きな枠で捉えてみようというのがメインテーマです。ちょっと分りにくかったかもしれませんが。
おっしゃるとおり、江戸時代からの影響もあるでしょうし、経済発展のための手段という側面もあるでしょう。そういうものをひっくるめて、地層という言葉を使ってみたのです。御理解いただけますでしょうか?
Posted by SNR at 2005年12月24日 00:53
TBありがとうございます。
中々興味深い話ですね。ただ、「典型的日本人」でいうところの「日本人」は現時点での一般観念みたいなところがあると思いますから、過去そういう時代があったからというだけで一般、とまでは言えない気がします。
松永久秀や藤堂高虎が典型的日本人だと言って納得する人はいないでしょうし。

新しいシステムが必要なのは間違いないですけど、それをどう浸透させていくかも考えないといけないですよね。
Posted by 川の果て at 2005年12月24日 06:08
TBありがとうございます。
ビラミッド組織はアメリカの鉄道会社が発祥で、日本は戦後アメリカ人に教育されたんですよね。
終身雇用や年功序列はその後日本で定着しましたが、今は逆にアメリカで組織力を持続するために見直されてるようですね。
日本でもまだまだ崩壊したとは言えないですよね。
ただ、いつの時代もホリエモンのように高い志を持った人間はいるもので、見習いたいものです。
これからも宜しくお願いします。
Posted by 若手税理士 at 2005年12月24日 21:25
みなさん、コメントありがとうございます。
ホリエモンが何かアクションを起こすたびに、様々な反発や賞賛の声が上がります。ターゲットにされた業界の人たちは、自分たちの生活もかかっているし大変だなと思いますが、そうでない我々はちょっと冷静になって、「果たして日本に必要とされるシステムはどんなものなのか?」を考えても良いのではないかと思い、「ホリエモンは日本人なのか?」という形で相対化してみたわけです。プロ野球界、会社、株式市場、政治と選挙などに限らず、社会保障システム、税制、あるいは子どもの安全といった問題でも、日本のシステムを見直す必要が出てきているように思えます。その辺のところで、みなさんはどういうご意見をお持ちなのでしょうか?
ちょっと、交通整理のコメントであります。
Posted by SNR at 2005年12月25日 13:21
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