2005年12月19日

SNRが斬る今年の重大ニュース! 反日デモ:「爾後北京政府ヲ対手トセズ」なのか?

戦後60年の節目を迎えた2005年。
日本のアジア外交の行き詰まりが、あちらこちらで指摘されましたね。
なかでも驚かされたのが、中国各地で行われた反日デモ。
小泉総理の靖国参拝がアジア諸国の反発を招いていることは知っていましたが、
さすがにあのデモの映像を見たときには、みんなちょっと驚きましたよね?

「小泉政権はアジア外交不在」とか
「日中間のコミュニケーションが欠如している」という小泉外交批判よく耳にします。
でも、これってちょっと間違っていませんか?
たとえ首脳どうしの会談がなくても、小泉総理が靖国神社に参拝したり、中国で反日デモが起きたりすると、それだけでもう日中間のコミュニケーションは行われてしまっているのですから…。

我々も日常生活でよく無言のメッセージを相手に送りますね。
例えば恋人とケンカしたときにわざと音信不通にするとか、休日に敢えて予定を入れちゃうとか、小さな話ばかりですが…。
国家と国家の関係でも、しばしば言葉による直接的コミュニケーションよりも、お互いの行動の方が何百倍も雄弁にメッセージを伝えることがあります。
それだけ外交で使われる言葉が美辞麗句と虚言に満ちているのと同時に、国家が疑心暗鬼に満ちた眼でお互いの行動を眺めていることの証拠でもあるわけですが。

もちろん、こういう無言のコミュニケーションばかりを続けるのは危険です。
最悪の場合はキューバ危機のときのように、核戦争の瀬戸際までエスカレートすることになります。
そこら辺のところを、どこまで分かってやっているのか?
靖国参拝の是非は置いておいたとしても、小泉総理の外交姿勢はちょっと心配になってしまいますよね。

1938年の1月16日、当時の総理大臣近衛文麿は、「爾後国民政府ヲ対手トセズ」(もう蒋介石の国民党政府とは一切交渉しませんという意味)という第1次近衛声明を出して、日中戦争の和平を成立させる機会を逸しました。
そのまま、ずるずると泥沼の戦争にはまっていったわけです。
同じように、「爾後北京政府ヲ対手トセズ」、
「爾後東京政府ヲ対手トセズ」とお互いに応酬するようなことになってしまったら、
誰がその幕引きをするというのですか!

今すぐ中国と戦争だなどと危機を煽るつもりはありませんし、中国に対して卑屈になれと言っているわけではないです。

ただ、あの反日デモは膠着する日中関係を改善する良い機会だったのではないでしょうか?
デモが暴徒化することで、他ならぬ中国政府自体が国際社会で苦しい立場に置かれてしまったのですから。
どの社会の人間関係も同じですが、外交とはつねにあらゆる選択肢をカードとして持っておくことが大切です。
それを自ら閉じてしまえば、自分自身の手足を縛るのと同じことになってしまうのです。

11月のAPECと12月の東アジアサミット。
この2ヶ月は外交の季節と言われていました。
しかし、小泉総理が温家宝首相からペンを借りるというパフォーマンス以外に、目立った進展は見られなかったようです。

カール・フォン・クラウゼビッツの『戦争論』のなかに、
「戦争とは異なる手段をもってする外交の延長である」という言葉があります。
戦争の前には必ず長い外交のプロセスというものがあるわけです。
戦争の反省を口にするのは簡単です。
小泉総理も「二度と戦争は繰り返さない」と何度も繰り返しています。

でもいちばん肝心なところは、戦争を引き起こした外交プロセスにあるわけですから!
そして、相手と交渉しないこと自体もひとつの外交プロセスになってしまうのですから。
もう一度、戦争へと至った外交の歴史をしっかり勉強していただきたいものです。
みなさんは、どう思いますか?
posted by SNR at 18:01| Comment(4) | TrackBack(2) | 外交・国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
始めまして。
ラブラブ外交は止めて、物申す外交をして欲しいと、常に思ってます。””戦争は世界の自然状態であり、平和は努力しなければ、うちたてられない。(カント)””今日読んだ本にありました。考えさせられました。
Posted by happy-tana at 2005年12月19日 22:55
日中お互いに、「アジアのリーダーでありたい」と言う願望が強いのでしょうか?
意地の張り合いで、国民が巻き添えを食らうなんて、こんなばかばかしいことはありません。
 どちらかが、大人にならなければいけないのなら、先に大人になった方こそ、真のアジアのリーダーなのでは?
Posted by とことこママ at 2005年12月19日 23:28
日本はアメリカに良い用に使われてるだけなんですけどねぇ・・・・
分かってても切っても切れない縁と言うのでしょうか。。。。
やはり日本人は相手の気持ちを尊重する美徳を持っているんですけど、外交では反ってそれが足枷になってる感も否めません。
もう少し言いたい事を言って見るのも大切なのかもしれません。
僕のブログでも少し靖国問題を書いたのですが、中国や韓国に言われっぱなしで、どうして靖国に行ってはいけないのか?
ハッキリと答えを返すことが必要なんだと今の日本を見てて思います。
確かに相手はこちらを毛嫌いしてるのは分かるから主張して行くのも控える事は大切ですが、要所要所で言う事は大切だと思っています。
そうやってぶつかって相手に理解させることもしないと中国韓国との問題は解決しないような気がします。
Posted by エンヤ at 2005年12月20日 00:41
happy-tanaさん、初のコメントありがとうございます。イマニュエル・カント。懐かしいですねえ。読んでいらっしゃるのは、『永遠平和のために』あたりですか?読書がんばってくださいね。
とことこママさん、エンヤさん、いつもコメントありがとうございます。
さて、靖国参拝の是非については、みなさんそれぞれご意見あるでしょうね。あるいは、総理の参拝の仕方に対しても、いろいろとご意見あるでしょう。そういった問題の是非は置いたとしても、何だか僕には小泉さんの一貫した方針や日中・日韓関係に対する熱意も感じられないのですが。みなさんは、どう感じているんでしょうか?
Posted by SNR at 2005年12月20日 10:37
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