2005年12月14日

SNRが斬る今年の重大ニュース! 総選挙:どっちの「改革」ショーは自民党の圧倒的勝利に

「小泉総理の言語能力は犬猫なみ」
総理お得意のワンフレーズ・ポリティクスを、井上ひさしさんと丸谷才一さんの対談では、こう評価していました。
総理のコミュニケーションがいかに映像を伴ってこそ意味があるかということが、
国会の党首討論をラジオで聴くと、よくわかるのだそうです。
そんなものかな…。

と思っていた、あの運命の8月8日。
僕はたまたま乗ったタクシーのなかで、あの小泉総理の「ガリレオ演説」のラジオ放送で耳にすることになりました。
ここから、あの長い選挙戦がスタートすることになったわけです。

今回の選挙は一言で言えば、「テレビ選挙」だったと思います。
確かに以前から、政治は「テレビ時代に入った」と言われてきました。
小泉総理はテレビの使い方が上手だとも言われてきました。
それでも、テレビがここまでのインパクトを持ったのは初めてでしょう。
そういう意味で「テレビ選挙」、しかも「ワイドショー選挙」だったことは間違いないでしょう。
「犬猫なみの言語能力」かどうかは分かりませんが、とにかくパフォーマンス力がものを言う選挙だったのではないでしょうか?

さて、問題は一口に「テレビ選挙」と言っても、
その実態や本質は何だったのかというのが、今回のテーマですね。

今回の選挙は「どっちの『改革』ショー」だった!

巷ではいろいろな分析が行われていますが、僕がこの選挙を一言で言い表すとするならば、これに尽きるのです。

日本テレビ系列で放送されている「どっちの料理ショー」という番組があるのは、みなさんご存知でしょう。
関口さんと三宅さんが、二手に分かれて料理のプレゼンテーションをして、
最後にゲストのタレントたちが、どっちの料理を食べたいか札をあげて決めるというものです。

「刺客騒動」などとメディアでは言われてきました。
確かに小泉自民党と郵政反対派議員の間の「斬った張った」は、さまざまなドラマを生みエキサイティングであったことは間違いありません。
でも、その刺激だけで有権者が投票したと考えるのはいかがなものかと思います。
有権者だってK1やプライドを(あるいは、ハッスル?)を見ているわけではないのですから、いわゆる「刺客騒動」が何を意味しているのかを考えて投票すると思いませんか?

このように考えてみると、一応今回の選挙はまがりなりにも自民党と民主党の間の「改革競争」だったわけです。
僕が言っている改革というのは、郵政民営化のことではありませんよ。
あくまでも、有権者の目に当時何が見えていたのかという視点からお話をしているのです。
つまり、あの「刺客騒動」も党内の抵抗勢力を一掃するという意味では、「自民党内改革」だったと思うのです。

一方で、民主党はというと…。
みなさんもご存知のとおり、マニフェストを中心に年金問題や子育てなどの改革案を、
気の毒になるくらい一生懸命アピールをしていました。

さて、実際に札をあげる役の有権者はどっちに軍配を上げたのでしょうか?
もちろん、自民党でしたが、理由は簡単です。
自民党チームが屋台の焼きソバをじゃんじゃん焼いたのに対して、民主党チームは高級懐石料理のお品書きを有権者に見せるだけにとどまってしまったのではないでしょうか?

つまり、自民党内の改革は民主党が批判したとおり、決して改革の本丸などと呼べるものではありませんでした。
言うなれば、屋台の焼きソバのようなものだったのです!!!
これに対して、民主党は有権者にとって大事な問題で改革案を訴えていました。
これはもしかしたら、高級懐石料理だったのかもしれません!!!
でも、残念ながらお品書きを見せるだけで、実際に目の前で調理することがまったくできなかったのです…。

僕は別に自民党が悪かったと言っているわけではないんです。
誰だってちゃんと料理が出てくるかわからないお品書きを見せられるよりは、とりあえずでも目の前の鉄板でソースの焦げる香ばしいニオイや熱々の湯気をたてられた方が食欲はそそります。
でも、これでひとつ分かったことがあるような気がしませんか?
それは、有権者がいかに「改革に飢えているか」ということです。
この飢餓感が投票率のアップにつながり、自民党への得票へと結びついたのではないでしょうか?

となると、当然ながら選挙後の自民党が問題となってくるのです。
有権者の多くはとりあえずの焼きソバで、小腹を満たしたにすぎないわけです。
歳出削減に医療制度改革、三位一体の改革に少子化対策…
みなさんもご存知のように、改革の本丸は「目に見える」抵抗勢力ではなく、「目に見えない」官僚のところにあるわけですから。
次の現場は屋台ではなく、お店の奥にある厨房なのです。

こうしている間にも、来年度の予算が組まれていっています。
つまり、厨房では何がしかの料理が行われているわけです。
今度はたこ焼きやお好み焼きのようなものでは許されません。
果たして出てくる料理が、有権者の注文どおりのものなのかどうか、みんなで見守ろうではありませんか。

僕は今回の選挙をこんなふうに捉えていますが、みなさんはいかがですか?
posted by SNR at 22:24| Comment(9) | TrackBack(5) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
面白い例えですね。

小泉首相率いる自民党が訴える改革が「手ごろで簡単に手に入る焼きそば」だと言うのはそうだと思います。あと付け加えるなら具が少なめですね、きっと。一方、民主党の訴える改革は同じ屋台で売っている、「体に良さそうで、ちょっと胡散臭い漢方薬品」だと思います。

民主党の改革案は本来国民が望むものを目指していながら、党内意見がまとまらなず信用の置けない党が、いつどのように効果で出るのか分からない改革項目を掲げていたという印象です。

そろそろ体にも良くて手ごろで旨い、定食屋の和定食が食べたいものです。
Posted by リーダー at 2005年12月15日 02:13
 トラックバックをありがとうございました。本当に今回の選挙結果は不可思議です。もっとも民主党も勝ち組政党で、その意味ではどちらが勝とうといまの若い人にはかかわりがない。だとすればパフォーマンスの面白い小泉に入れる。そう考えればあながち「不可思議」ともいえないかと思うのですが…。
Posted by 加齢御飯 at 2005年12月15日 10:16
コメントありがとうございます。
みなさん、民主党にもなかなか手厳しいですね。リーダーさんの「体によさそうで、ちょっと胡散臭い漢方薬品」という表現、なかなか良いと思いますよ。そして、「体にも良くて手ごろで旨い和定職」。確かにそういうの欲しいですよね。
しかし、「和定食」って具体的には、どんなイメージの政治になるんですかね?ポスト小泉が誰かといったあたりを絡めながら、みなさんの意見を聞いてみたいところです。
加齢御飯さんのご指摘も面白いですね。おっしゃるように、もし民主党が勝ち組のマイノリティ政党になっているとしたら、もう救いようがないことになりますね。選挙後も、民主党の目だった活動は見えてこないですし…。民主党のイメージについても、引き続きご意見お待ちしております。
Posted by SNR at 2005年12月15日 11:22
はじめましてSNRさん。
tbありがとう。
返信は失敗したようです。
お若いのに、しっかりしたご意見を持たれ感心しました。Oritaku
Posted by 折焚く柴の木 at 2005年12月16日 03:46
折焚く柴の木さん、コメントありがとうございます。さすがに保守王国のひとつ、山口県の方では、東京とはだいぶ違うんですね。民主党の声、看板、ポスターに触れることはまずないというのには驚きました。
Posted by SNR at 2005年12月16日 11:30
TBありがとうございます。
私は小泉のような品性も知性のかけらもない者を首相に戴いてしまった日本の不幸を憂いますが、当然問題は彼一人にあらず。グローバリズムのもっともらしい名前で正当性があるように勘違いされがちな国際金融資本に都合のよい「世界標準」や新自由主義とよばれる米発の弱肉強食の原始資本主義への流れを「正しいこと」「時代の流れ」などと勘違いしている一群の政治家、学者、官僚が真の理論的打倒の対象と思ってます。
改革という言葉を使うものが正しいような錯覚が広く存在しますが、この社会で正しいのは穏健中庸の精神のありかただと思います。自分が改革者で敵は抵抗勢力だと唱える者はその正当性を疑ってかかる必要があります。自民党も民社党も同じでしょう。
権力維持のため絶えず国民に迎合する改革を唱え続けると社会は破壊されるでしょう。
国家財政が苦しいから政府を小さくしろ無駄をなくせ、民営化しろ、増税もやむなしの考えは間違っています。
森田実先生のHPの時代を斬る12/1の記事など参考になります。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/
Posted by 日暮れて途遠し at 2005年12月16日 20:39
日暮れて途通しさん、コメントありがとうございます。
「改革」という名の下に図式を単純化するのは、ちょっと危険ですね。
Posted by SNR at 2005年12月16日 22:57
TBありがとうございます。

刺客騒動も党内改革だった、というご指摘には私も同感です。ある意味、私のエントリーの後半で書いたタコ壷を叩き割る作業に相当したのだと思います。
Posted by 馬車馬 at 2005年12月22日 02:25
馬車馬さん、コメントありがとうございます。
馬車馬さんのような、しっかりとした学術的な文章ではないのですが、国民から見えた視点を分かりやすく読み解くと、こんなふうになるかなというものです。それにしても、アメリカでの前原発言とそれに対する反発などを見ていると、民主党の混迷状況は深いなと感じてしまいますね。
Posted by SNR at 2005年12月22日 11:34
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

文盲の国
Excerpt:  学力低下がいわれて久しいが、学生たちは本当にものを知らない。何人もの学生がジョージ・ワシントンを知らなかった。計算もできない。1ドルが100円の時、日本で100万円する日産の車は(関税等は考慮しない..
Weblog: ガラパゴス通信リターンズ
Tracked: 2005-12-15 10:14

自民圧勝は国民が支持した様な言い方は止めてください
Excerpt: 自民党、得票率 48% 自民党、獲得議席73% まだ、また、「自民圧勝」って言ってた。 また、まだ、国民の支持で「自民圧勝」したように喋ってた。 自民圧勝は国民が支持した??
Weblog: 国営ナンタラ通信
Tracked: 2005-12-15 17:33

敗北は誰の責任か?
Excerpt: 「私たちの政策が国民に伝わらなかった」 「争点が郵政民営化だけにすり変えられた」 敗北が決まった野党の党首や幹部連中が口にした言葉である。 「アホか」と言いたい。 それこそが、あなたたちの敗因..
Weblog: 時代のウェブ・ログ
Tracked: 2005-12-15 19:39

真の二大政党への政界再編プラン
Excerpt: '90年代に「誰を首相にしたい?」みたいなアンケートには「小沢一郎」と書いてました。今は小泉純一郎でいいんじゃないと思ってます。では「民主党が勝って前原政権が出来たらどうしますか?」と聞かれたら「支持..
Weblog: 時代のウェブ・ログ
Tracked: 2005-12-15 19:41

yosoo.netユーザーが選ぶ2005年の重大ニュースは?
Excerpt: yosoo.netユーザーが選ぶ2005年の重大ニュースは? yosoo1. 耐震強度偽造問題 yosoo2. 紀宮さま結婚 yosoo3. 総選挙で自民圧勝 yosoo4. 愛知万博開催 ..
Weblog: 羅駆転(あるいは汐菱Q)の日記
Tracked: 2005-12-18 23:53
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。