2005年12月01日

牛肉だけでなく、ついにマンションまで全棟検査か?

「ぶっ倒れるにしても、前向きにきっちりと倒れていく覚悟です」というヒューザー社長の発言。
被害に合われた住民の方から見れば、とんでもない発言ですが、
どうにも救いようのない事態になっていることは間違いありません。

おまけに、日本ERIにも不正が発覚して、
もうどうにも止まらない状態になってしまいました。
問題のあるマンションを建て替えて、すべてのマンションを検査するコスト。
そして問題の責任を誰も認めようとしない業界の実態。
怒りを通り越して、あきれてものも言えない状態になってしまいそうです…。

でも、嘆いているばかりでは何も始まりません!
せめて、今度の再発を防止する意味でも、
今回のような事態を生んでしまった背景を少しでも整理して問題解決につなげなければなりません!!!

そもそも根底にあるのは、世の中のどこにでも見られる「代理委任関係」にまつわる問題なのです。
一般の人はマンションを自分で建設することができないのですから、
代理人の人たち(今回で言えば設計士や施行業者)に建築を委任するわけです。
このときに、代理人は依頼人が知りえない情報、
今回のことで言えば、まさに構造設計による耐震性の確保などを知っているわけです。
ここに落とし穴があるわけですね。
つまり、簡単に嘘をついて欠陥住宅を売れてしまう下地があるわけです。
国民の代理である政治家や官僚がよくウソをつくのと同じです。

そこへもってきて、マンションブームによる過当競争です。
価格が下がっているのに、さらに安い物を大量につくることで競争に勝とうとする。
悪しき市場経済の典型です。
この状態が行き過ぎるとどうなるのか…。
みなさんもお分かりになりますよね。

もちろん、不祥事が発覚すれば業界全体が、
いや、社会全体が被るコストは莫大なものです。

特にマンションのような、1単位あたりのコストが大きなものであればなおさらです。

もちろん、こんなことにならないために、
モラルハザードが起きにくいような制度設計をしなければならないわけです。
つまり多くの人が監視する仕組みをつくらなければならないのです。
しかし今回はそれが働かなかったというわけです。

いま確認審査業務を民間に任せたことが問題にされています。
ついこの前までホリエモン・ブームなどで、市場原理を叫んでいたのが嘘のようです。
あるいは、「民間にできることは民間に」というスローガンに踊っていたのは別の人たちなのでしょうか?

今回の件でも、市場そのものが悪であったわけではありません。
そもそも、市場自体には倫理などというものはないのです!
政府に検査を任せたって、政府自体に専門的知識や不正を見抜こうとする意思がなければ同じ結果を生むだけでしょう。

その一方で、市場自体の信頼は簡単に傷ついてしまいます。
そして下手をすると、全棟検査などという無駄なコストが重くのしかかかってくることになるのです。
信用回復のために制度設計を見直すことが性急になされるべきでしょう。
安易な市場批判が進みすぎぬことを心から祈ります。
posted by SNR at 23:20| Comment(0) | TrackBack(6) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

続・広がる不信:耐震強度偽装(木村建設・ヒューザーそして伊藤公介氏)
Excerpt: 「広がる不信」は、とうとう政治家の名前までが飛び出してきた。伊藤公介衆院議員(元国土庁長官)である。既報の通りであるが、以下に伊藤議員とヒューザー小嶋進社長そして国交省幹部との経緯について、当該記事他..
Weblog: 時評親爺
Tracked: 2005-12-02 08:11

耐震強度偽装マンション問題を考える。
Excerpt: バブル以降の所謂『手抜き』とは、「室内の仕上げ(CFの波打ちや、壁クロスのボトムになる幅木の仕上げ等)に手抜きが多いね」という話は聞きます。昨今の新築ラッシュ(無理な工期の短縮化)で「資産価値として大..
Weblog: retour&Retour
Tracked: 2005-12-02 22:52

偽造事件の黒幕?
Excerpt: 人気blogランキングへ 構造計算偽造事件で、対象となった物件の多くを施工していた「木村建設」が破産申請を行った。
Weblog: 都心マンション探訪記
Tracked: 2005-12-03 19:38

マンション購入も不動産投資の一種
Excerpt: あらかじめ断っておきますが、マンションの住人に全ての責任があるとは思っていません(間違って最初「います」と書いてしまいました^^;)。 このことについて触れるのは、嫌だったのですが、そうも言ってられ..
Weblog: 兄やんの一言モノ申す
Tracked: 2005-12-06 18:05

耐震・想定内ついに出たゼネコン
Excerpt: 想定内の出来事だけど・・やっぱね。  それは営業中止に追い込まれているホテルのうち、まだ2棟だが鹿島建設いや(鹿島・・なぜ社名変えたんだろう?)と大林組が施工したというもの。  ああついに..
Weblog: ブログ らぷぽ
Tracked: 2005-12-07 08:49

高さ1キロメートルのビルをクウェートに建設?
Excerpt: 高さ1キロ!の超高層ビル誕生か=クウェートが計画、新都市の中心に 英紙インディペンデントが報道。高さが1キロあるとさすがにたまに無許可でビル登り敢行する「スパイダーマン」も無理でしょう。しかしク..
Weblog: ニュースヘッドライソ
Tracked: 2005-12-11 05:39
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。