2006年01月18日

『日本を決定した百年』とその後

昨日に引き続き、ライブドア騒動耐震偽装設計の問題についてです。

この2つの問題は、本当に偶然なのかどうかは定かではありませんが、
たまたま同じ日に大きなニュースとなりました。
だからというわけではありませんが、どちらの問題にも共通する大事な視点があるように思います。

ライブドアは良い意味でも悪い意味でも、新しい問題を提起してきた企業でした。
バブル崩壊以降、低迷してきた日本経済や株式市場を活性化させてきたのは間違いないでしょう。
プロ野球問題にしても、ニッポン放送株問題にしても、なかなか良い問題提起をしていたこともありました。
株式分割にしてもM&Aにしても、それ自体が決して悪いことだとは思いません。
そうした手段を用いて何を目ざしているのかということが問題なのだと思います。
堀江社長は株式時価総額で世界最大の企業を目指すと述べていたと思いますが、
それだけではない大きな目標やビジョンが足りなかったのではないでしょうか。
もちろん営利企業なのだから収益を上げることは大前提ですが、多少偽善くさくても構わないから、単なるお金儲け以上の夢を語ることができれば良かったのだと思います。

一方で、耐震偽装設計のマンションについても同じです。
100平方メートルの物件を4000万台でというのも、それ自体は決して悪いことではないと思います。
でも、家というものは単に安くて広ければ良いというものではありません。
月並みな言い方ですが、そこには人々の生活があるわけですよ
もっと大きな視点から見ても良いでしょう。
つまり、マンションはそれだけで独立して建っているわけでなく、街の景観を構成しているわけです。
自分たちが街づくりの一環を担っているという意識が彼らにあったのでしょうか?

ある意味では、現在の日本は日露戦争後の日本と似ている。
日露戦争の勝利によって、明治の初めに人びとが目ざしたことがいちおう達成された。
現在の日本は、戦争直後に始められた仕事がいちおう成功した状態である。
しかし、日露戦争後の日本は新しい目的を探求する代わりに目的を失い、いつの間にか誤った方向へと迷い込んでしまった。
日本人が現在、日本が背負うべき責任を回避し、そのすぐれた能力に目的を与えないならば、同じような危険が存在する。


これは元首相の吉田茂が、明治維新100年(1967年)を機に書いた『日本を決定した百年』の一節です。
高度経済成長の終わりと、その後の日本について予見したかのような内容ですね。
吉田がこう述べた後、日本はバブルとその崩壊を経験して現在に至るわけです。
この間に日本は果たして、経済成長以上の目的を見つけられたのでしょうか?
これが2つの問題に共通している大事な視点だと思います。

今日はライブドア・ショックで、東京証券取引所の全銘柄が取引停止になる始末です。
吉田は続けて「現在の状況を日本人の精神的混乱とするのは必ずしも正しくない」と述べていますが、今日のような狂乱市場を見ていると心配になってきますね。
ちゃんと本業で頑張っている企業もあっての景気回復なんですから、それを見極める目を持ってほしいものです。
posted by SNR at 22:28| Comment(5) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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